姿勢を良くするということ

「姿勢」についてあなたはどう考えているだろうか?もちろん社会的には、姿勢が良いということはポジティブに受け止められる。ネガティブに受け止められることはまずないと言っていいだろう。反対に「猫背」はあまり良くは受け止められない。もちろん例外はあるだろうが、一般的にはこのような捉え方をされる。

 

僕は小さい頃から猫背に撫で肩、ストレートネックで俯いて前傾姿勢で歩く癖があった。悪い姿勢のフルコンボ、フルコースだ。特に背中に重い荷物を背負っているとその辺のお婆さんより腰を曲げて歩いていた。

 

そんなある日、僕は部活の練習中に怪我をした。右股関節を痛め、右太腿に肉離れが起きたのだ。(これは今でも完治はしていなくて、たまに痛みを感じることがある)

 

そこで、整形外科に行き診てもらい、そのあとは柔道整復師のところや近所のカイロプラクティックに行きリハビリをした。その時受けた治療は特には印象には残らなかったのだが、1つだけ印象に残っている言葉がある。治療院に入り挨拶した瞬間、

「君、姿勢悪いねー、ちょっと見ただけでわかったよ」

と言われたのだ。

これを聞いて僕は驚いた。他人の目からほんの少し見ただけで分かるなんて。

そしてさらに「この姿勢の悪さが今回の怪我の遠因かもしれない」と言われたのだ。

 

僕はそこから本気で姿勢を正すことを自分に誓った。

まず、姿勢の悪さというのは「体幹のなさ」、「腹筋背筋の釣り合いの悪さ」だと思う。僕は小さい頃から背筋が弱く、また比較的腹筋があった。さらに、腹筋でも左の腹筋の方が右の腹筋に比べて強かった。(これは小さい頃からやっていたテニスが原因だと思われる)

これをまず矯正することを始めた。

ただ、いきなり背筋トレーニングを始めたわけではない。

歩く時、上体を起こし続けることを意識したのだ。大したことないじゃないか、と思うかもしれないがこれは姿勢が悪い僕にとってはかなりの苦行だった。もちろん意識し続けても姿勢は自然と悪くなるから窓ガラスや店などに置いてある鏡なども利用して、常に自分の姿勢を客観的に見続けた。

個人的には、リュックサックを前に抱えた時の姿勢と、「地面を制す」感覚で歩いた時の姿勢がベストだった。

電車に乗っている時のようにリュックサックを前に抱え歩くと、たしかに骨盤に背骨がまっすぐのっている感覚がある。

また、「地面を制す」というのは地面のアリなどを睥睨して、偉そうに歩くことだ。この表現には気恥ずかしさと誤解の余地がある。つまり、これは単に顎を上げたり胸をそらせるということではない。なんというか地面を制す、伏すという表現でしか表せない。

そのあと僕は体幹レーニングを始めた。色々やったが、プランクを1日1分10セットがベストな気がする。

 

これらを続けること6ヶ月ほど、僕は徐々に姿勢が良くなっていることを感じ始めた。道を歩く時も、以前はサラリーマンにぶつかられることが多かったのだが、狭い通路では向こうから避けるようになった。些細なことでもメリットしかない。

 

そして僕は姿勢が良くなるにつれてポジティブな思考に切り替わった。これは姿勢の改善が原因とは限らないが、個人的にはたしかにそんな気がする。人間の思考というものは視覚に占められる割合が高いのだ。普段見ている景色が単調な灰色のアスファルトから鮮やかな人の流れに変わったということは、多少なりとも僕の脳に良い影響を与えたのではないだろうか。

 

長々と書いてきたが、何が言いたいのかというと、姿勢を良くすることには様々なメリットがあるということだ。たとえそれが些細なことであれ、なんであれ。